放送大学伝説③:授業に行ったら、先生の朗読会だった⎯哲学宇宙のはじまり⎯

完璧な予習を経ての初めての講義は、
完璧なまでの教科書朗読会だった。
現代倍速脳の哲学生が、
哲学宇宙の先に見たものとは⎯。

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※ほーほー隊偏愛エール詳細は記事最後に載せてます。

反抗的哲学生、刺激を欲す

脳内を出川哲朗よろしく
Why?で支配されながらも、
なんとか予習を終えた。
講義の最後には毎回、
研究課題というものが設定されている。
どうしよう…。
講義を受けてからでもいいだろう。
後回しにする。
では早速、初めての講義始めようか。
いや。全然早速でもないんだが。
放送大学は、名前こそ“放送”だが、
今は24時間いつでもウェブ受講できる。
ありがたい。
そして、私の講座は音声のみの
ラジオ講座だ。
再生ボタン、ポチッ!
哲学の講義ってどんなのかな。
先生何話してくれるんかな。
楽しみ~。ワクワク。
軽やかな音楽。
からの、講義名の宣言。
さぁ、私の大学生生活2026開幕じゃあ!
……ん~。
先生話すのめちゃ遅いね。
時間もないし、
最速設定1.5倍速決めとくか。
なっ!まだ遅い!
Audibleでは
1.7倍速がデフォルトの私には
微妙に遅い。
集中できねぇ!
ウェルニッケ中枢に刺激頼むーーー!。
哲学生、哲学インフレーション起こす
のっけからつまづいた哲学生。
そんな事言ったってしょうがない事を
本当はわかっていた。
大人ですから!
“どうにもならないことを、
どうにかするためには、
手段を選んでいるいとまはない”である。
なんでもいい。
とにかく、聴くんだ!
拳を握り締め、ふ~っと息を吐き、
先生の語りに集中する⎯。
………。
お、先生ちょっと訛ってる?
あるよね、同じ話すぎて
独特のイントネーションになっちゃうこと。
あー、その文節で区切るかぁ、
学校の先生っぽいな~。
などと思いながら、
聴く。聴く。聴く。
聴いてるんだが…。
待って待って。一回止まろう?
先生!先生~!
教科書まんま読んどるやないかい!
さっき読んだばっかなんで、
私も完全に覚えてるんですけど???
なんてこと。
放送大学って、
教科書の朗読会だったの!?
またWhy? が脳内インフレーションを
起こし始めていた。
ぐっ!哲学宇宙が生まれるっ!
哲学生とAudibleの悪癖
いや、普通の大学でもあるけどさ。
ここまでのところほぼ完全朗読会。
で、でも初回だし、入門科目だしね。
ただ、こちとらついさっき
同じ内容読んだばっかなんだ。
この時間って一体…。
Why?なぜに、聴いているのか。
もう哲学YAZAWAでちゃう。
いや、待て。待て。ダメだ、ダメだ。
とりあえず。とりあえず全部聴こう。
深呼吸して、再び再生ボタンを押した。
⎯⎯。
しかし、なんだな。
新たな情報がないと手持ち無沙汰だな。
とりあえず、ソクラテスの言葉に
マーカーを引いてみるか。
あ、ちょっと斜め!
フリクションにしてよかった。
引き直そう。
⎯⎯。
あー暇だ。暇すぎる!
ネイル削りながら聴くか!
Audibleユーザーゆえの悪癖が出てしまう。
脳が、脳がマルチタスクを欲している。
うぅ。思わぬ伏兵が私を苦しめる。
哲学生の小さな願いは
講義はまだまだ続く。
そろそろ2章が終わるな。
さすがに宇宙は端折るやろ。
それできっと後半は
研究課題についてお話しするんだ!
それか、パスカルについては
自ら語りたい派とか?
うんうん、きっとそうだ!
そうに違いない⎯。
私は、微かな望みにかけた。
どうか、どうか先生。先生のお言葉を!
宇宙は8Pフルで読破。
第4章は、半分ほど削られ、
特に話を膨らますこともなく、
第一回の講義は終了した。
哲学生の小さな願いはお星さまになった⎯。
え?研究課題どうすんの?
次は、予習の仕方を変えた方が
いいかもしれない。
これだと教科書読んだ時点で試合終了である。
反抗哲学生、言葉の重力を知る
そして、研究課題である。
これは毎回2つ問いが出され、答えは書かれていない。
哲学らしいじゃないか、先生さんよ~!
第一回なので、特に難しいことはなかった。
だが、どうしても引っかかることがある。
この一文。
「生きていることの「有り難き」ことを考えてみましょう」
「有り難き」こと?なぜだ…。
Why? 「有り難さ」じゃないの?
Why? なんで鍵括弧つけた?
問題そのものよりも
先生がなぜ「有り難き」という言葉を選んだのか、
そこが気になって仕方がない。
何か意味があるはずだ。
私は子供の頃からそうだ。
こういうことが気になってしまう。
小学生の時、教科書の要約をする課題で
最初の芋粥の項目で止まってしまい、
時間内に終わらせることができなかった。
くっ、「有り難き」は現代の芋粥か…。
「まい、ガンバッテー!」
シナプスたちの声がする。
(しない)
ダメだ。負けるな、私。
考えろ、考えろ。考え続けるんだ。
こめかみをトントンして
脳みそに刺激を送る⎯。
あ!なるほど。
先生そういう事ですか。
「有り難き」は、「有り難さ」と違って、
受け止めて抱きしめるような感じがする。
先生は、私たちに問いながら、
「存在の奇跡」を伝えようとしてくれてるんだ。
たった一文字なのに、
私はこんなにも立ち止まってしまった。
言葉には、重力も引力もある。
先生!先生~~!
反抗哲学生、改心する
ところで、今回気づいたことがあった。
教科書の独特さだ。
まず。わかりやすく書こうという
気持ちが伝わってこない。
Why?
“この”ってどこの”この”よ!?
そして、楽しませよう、
分かりやすくしようという気概も感じられない。
Why?
それに比べて、
世の中に溢れるビジネス書や実用書の
なんてわかりやすいこと!
めちゃめちゃ編集されている。
大事なポイントが一目瞭然!
教科書を読んでいる最中、
「そこは太字にせぇ!」と叫ぶ
脳内千鳥・のぶが、何度現れたことか。
でも途中から思った。
これって逆に現代人が
世の中からめちゃめちゃ甘やかされ、
楽しませて頂いてるってことでは?って。
あ~まただ。
また教えられてしまった。
私は何も分かっちゃいなかった。
無知の知も大概にせえ。謙虚シールドどこやった!?
はぁ先生の朗読会、ちゃんと聴いてよかった。
先生、先生!
私、次もしっかり予習します!
私は静かに頭を垂れた。
この講義、コスパ最強かよ…。
ただし、タイパについては
改善の余地あり。
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